またのぞき
「何が見える?」 。
足を大きく広げてさかさまにのぞく景色は、いつもと違って見えて新鮮だ。
昆虫が群れ、夢中になって遊んだ原っぱ。
鬼ごっこやベーゴマに熱中した日々。
夏、ふんどし姿で笑っていた近所のおじさん。いつも青っ洟を垂らしていたあの子。
隣のお姉さんの白粉のにおいと赤いスカート。すべてがさかさまに見えた。