作家・石井美千子

Artist
粘土の人形の原型に向かう、制作中の石井美千子

人形作家・石井美千子紹介1953年 - 2023年

「昭和のこどもたち」の作家、石井美千子は一九五三年、福井県福井市に生まれました。雑誌の編集やデザインの仕事を経て、一九八七年ごろから桐塑(とうそ)人形づくりの基礎を学びはじめます。

昭和三十年代にこどもだった記憶をたどって、今を生きる人たちへのエールとなる物語を、人形(ひとがた)をモチーフに描いた、「昭和のこどもたち」。一九九三年の初めての個展で百体を発表し、その後、全国に巡回展示を行ってきました。

二〇二三年十月、人形作家・石井美千子 逝去。
のこされた作品は、株式会社アトリエみちこが守り、伝えています。

In numbers

作品数
64タイトル
人形数
332体
全国での展示
100か所以上
入場動員数
150万人以上

Biography

  1. 1953

    福井県福井市に生まれる。生後13ヶ月で母を亡くす。

  2. 1959

    この年より8年間を福井県の養護施設で育つ。

  3. 1971

    学習研究社入社。女性雑誌編集に携わる。

  4. 1973

    東京デザイン専門学校に入学

  5. 1975

    卒業後、デザイン会社に勤務

  6. 1977

    結婚。長男を出産と同時に夫の祖母の24時間介護生活が始まる。

  7. 1983

    長女誕生と同時に義祖母逝去。
    生と死のリンクを実感すると同時にこの時期結核を発病。生後間もない長女をおいて、闘病を余儀なくされる。病床から4歳の長男に120通のラブレターを出す。

  8. 1987

    この頃より桐塑人形作りの基礎勉強を始める。
    創作のテーマを自分の子供時代と設定し、団塊の世代といわれる人たちへ
    また生きていく自分に対するエールとして「昭和のこどもたち」を掲げた

  9. 1993

    東京・中野 嫁菜の花美術館にて初の個展。「昭和のこどもたち」100体を発表。

  10. 1995

    阪神百貨店主催「昭和のこどもたち」展開催。
    この展覧会がきっかけとなり、要請が全国規模のものになっていく。

  11. 2000

    江戸東京博物館にて、東京2000年祭共催事業「昭和のこどもたち」展開催。
    同博物館において初めての現存作家による展覧会となる。
    その後も全国各地で48タイトル214体による「昭和のこどもたち」展を開催。現在の昭和30年代ブームのきっかけともなる。

  12. 2005

    福井市政策企画室の依頼により幕末の歌人、橘曙覧(たちばなのあけみ)が詠んだ「独楽吟」短歌3首のテーマの情景を再現した「独楽吟(どくらくぎん)人形」を制作。

  13. 2007

    内閣府後援「昭和の日」制定記念事業「昭和のこどもたち」展を八王子市主催で開催。

  14. 2007

    岩谷産業「岩谷直治記念執務室」の依頼により、同社創業者・「岩谷直治の世界」「エネルギーを追い求めて」「プロパンガスの伝道師」を制作、4月完成。

  15. 2007

    福井県大野市の依頼で「昭和のこどもたち」特別オリジナル写真パネルを制作。52作品を大野市の社会教育・福祉目的を主意とした巡回展示のために納品。

  16. 2011

    3月11日東日本大震災。直後の広域に渡る津波は東北沿岸都市を壊滅的に損壊。鎮魂「海の人」制作着手。

  17. 2016

    9月。「昭和のこどもたち」第1部「ふるさと」につづく第2部「海の人」完成。

  18. 2016

    静岡県御殿場の時之栖において第1部「ふるさと」につづく第2部「海の人」の一挙展示を行う。

  19. 2022

    第2部「海の人」写真集を刊行。

  20. 2023

    10月に病による逝去。享年70歳。

Commissioned works

「昭和のこどもたち」のほかに、自治体や企業からの依頼で、歴史上の人物の世界も人形で描きました。
※新しい人形の制作は、今後は行いません。

鍋を囲んで食事をする家族の人形(橘曙覧の世界・展示ケース)

橘曙覧(たちばなのあけみ)の世界

2005年3月完成/橘曙覧記念文学館(福井市)所蔵

幕末の福井藩に生まれた歌人、橘曙覧。暮らしの中の素朴な楽しみを「たのしみは」で始まる短歌に詠んだ「独楽吟」から、自然、夫婦、家族愛の情景を人形で再現しました。

橘曙覧の世界を見る

プロパンガスのボンベを囲む、法被姿の大人とこどもたちの人形

岩谷直治の世界

2007年/岩谷産業株式会社 所蔵

岩谷産業の創業者、岩谷直治(1903–2005)の生涯を、「プロパンガスの伝道師」と「エネルギーを追い求めて」の二つの場面で描きました。

女性をかまどの煙と煤から解放しようと、日本で初めてプロパンを家庭用の燃料として広めた姿。はじめて見るものに出会った人びとの、驚きとよろこびの表情も表しています。

岩谷直治の世界を見る

Making

粘土の人形の原型に向かう、石井美千子作業台に並ぶ、粘土の人形の原型

ひとつの顔に、
ひとりの昭和。

写真=制作中の石井美千子/人形の粘土原型(2015年の制作資料より)

人形は、ひとつひとつ手でかたちづくられています。笑う顔、泣く顔、すねた顔。こどもたちの表情は、一体ずつ違います。

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